日本で生活しているとバスや電車といった公共機関を利用して移動することが当たり前だと思います。そんな時、いきなりお腹の調子が悪くなって途中下車、なんて経験はどなたにも経験がある事と思います。
しかし、それが体調の悪さからたまたま、ということでなくて毎朝のように起こっていたら凄まじいストレスになってしまいます。しかし、世の中にはそういった症状を引き起こす過敏性腸症候群という病気が存在します。
今回の記事を読んでいただき、もしも思い当たる節があれば、ご紹介する改善策などを試してみてください。それでは記事を始めてまいります。
過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群とは腹痛を伴う、下痢、便秘あるいはその両方が半年以上も続く状態を指しています。主な原因はすべて解明されていませんが、仕事に対する生真面目さや日常生活におけるストレスがその原因だと考えられています。
日本では非常に一般的な消化器疾患の一つとして捉えられ、男女ともに30代~40代に多く発症し、およそ排便異常で医者に掛かる方の20~30%はこの疾患が原因と診断されるほどです。
その主な症状は先ほども挙げた、腹痛と排便異常です。特に人によって痛みの質や程度が様々ですが、上腹部に痛みを感じる方が多く、キリキリと、あるいは鈍い痛みを感じ、実際に排便を行うと痛みが軽くなる傾向があります。
その他にもお腹が張ったり、よくお腹が痛くなったり、といった腹部の不快感や、冒頭の通り、突如として下痢が出そうな感覚が襲ってきたり、重症化すると10~30分程度に一度の周期で下痢が襲い、通勤・通学・外出などが困難になってしまう方もいらっしゃいます。
過敏性腸症候群の原因とは?
冒頭で触れた通り、この疾患の原因は定かになっていません。しかし、どのようにして下痢や便秘の症状が発生してしまうのか、という事は最近の研究でわかってきました。
ヒントは名前にある通り、腸が過敏に反応してしまう事にあります。この原因はストレスによって自律神経に乱れが生じてしまったり、脳と腸の正常な働きが崩れてしまうことにあります。
自律神経とは私たちが普段意識せずに、行っている呼吸、体温調整、消化・吸収、排便、心臓の鼓動、睡眠などを司る神経なのですが、この神経に乱れが生じると腸に運動障害が起こり、便秘や下痢といった症状が現れるようになります。
それではまず我々が食事を摂取してから吸収するプロセスを簡単に説明しましょう。まず最初に口で咀嚼された食事は咽頭、食道、胃を通って小腸に向かいます。ここで更に分解されるとともに、栄養分が吸収され、最後に大腸で水分を吸収して、不要物が排出されます。
ところが、腸に運動障害が起こると大腸で水分が十分に吸収されないまま排出されるので下痢となって排出されてしまうのです。
反対に、腸の運動が緩慢になると、大腸に水分が吸収され過ぎて渇いた便が溜まり、これが便秘の元になってしまう。というわけです。
また自律神経の乱れだけでなく、細菌が引き起こす感染性腸炎を発症した後に過敏性腸症候群が発症してしまうケースもあるそうです。感染性腸炎とは一番、有名なところでいくとノロウイルスなどに感染して吐き気、嘔吐、下痢、発熱などを引き起こす疾患です。
この経験により、細菌やウイルスを体外に排出しようとする腸の運動機能が過敏に反応して、過敏性腸症候群が起きる可能性もあるのです。
過敏性腸症候群を改善するには?
やはり原因が不明確なので一概には言えません。しかし規則正しい生活と規則正しい食生活は、健康に欠かせないことですから、気を付けた方が良いと思います。
また食生活の改善もお勧めしたいのですが、これには難しい問題があります。なぜなら腸はたくさんの役割を担っている重要な組織だからです。
例えば先ほどから出ている消化・吸収はもちろんですが、気持ちを明るくしたり、やる気の元になる幸せホルモン(ドーパミンやセロトニン)を生み出したり、体内に侵入したウイルスや有害物質を体外に排出する役割も持っているからです。
単純に今回の過敏性腸症候群を抑える効果を期待するのであれば、腸の動きを活発にするイモ、ゴボウ、大豆など食物繊維の多い食品やヨーグルト、牛乳、味噌、納豆といった発酵食品や乳製品を摂らないようにした方がいいです。
しかし、あまりにその食生活が続くと、今度は腸の機能不全であるリーキーガット症という病を起こす場合があります。これは簡単に言えば腸内に微細な穴が空くことで体内に侵入したウイルスや有害物質が腸壁をすり抜けて体内に入ってしまう病で、倦怠感、集中力の欠如、糖尿病、生活習慣病、がん、といった病の原因にもなる疾患です。
ですから、単純に下痢や便秘を抑えるということが目的でなく、健康を維持していくという目的で食生活の改善をするのであれば、専門家に相談の上、取り組むことをおすすめします。
まとめ
今回は、多くの方を下痢や便秘といった症状で悩ます過敏性腸症候群をご紹介してきました。今回の記事では割愛してしまいましたが、腸内環境を正常に整えることは健康や日常生活のモチベーション、あるいは情緒を安定させるためにとても大切なことです。
しかし記事後半でもお伝えした通り、何事もやり過ぎはよくありません。食生活の改善も非常にいいことですが、まずは今回の記事を参考にしてご自身の日常生活を鑑みて、体調の不良やストレスの原因を見つけ、それらを緩和してみても良いかもしれません。