塵も積もれば山となる!脊髄分離すべり症!!

思春期、成長期と呼ばれる時期にスポーツに打ち込んでいらっしゃた方、多いと思います。スポーツの練習や重い荷物を持っている最中に軽い腰痛を感じた、ほかの選手と接触してケガをした、けれどいずれも症状が軽かったので放って置いたら痛みが自然と無くなっていた。

一見、痛みがなくなると治癒しているように感じても、そういった痛みは背骨の一部に負荷がかかり続けることによって起こる疲労骨折や、それに伴って併発する脊髄分離すべり症予備軍になっているかもしれません。

特に、野球、バレーボール、競泳、ダンスといった身体を反るスポーツを行っていた方に多く発症する病ですが、今回はそんな「脊髄分離すべり症」の原因、症状などについて書いていきたいと思います。

脊髄分離すべり症のまえに、、

脊髄分離すべり症について説明する前に、脊髄と背骨の構造について知っておきましょう。骨格模型をご覧になった方は多いと思いますし、実際に見たことが無くてもテレビレントゲンなどで人間の骨格を見たことがある方は多いと思います。

背骨というのは、中心に穴の開いたブロックが一つ一つ積み重なって出来ています。さらにその背骨の中心には空洞があり、脊髄と呼ばれる脳が身体を操作するための命令を電気信号によって伝える器官があります。そしてその脊髄脊柱管という管が覆って守っています。

「脊髄分離すべり症」はこの背骨の一部の骨が前方へズレてしまった状態の事で、重度になると脊髄を圧迫し、腰に痛みを感じるといった症状が現れます。

この「脊髄分離すべり症」は、成長期など骨が柔らかい時期激しい運動繰り返し行うことによって起こる「脊髄分離症」が引き金となって発症します。

「脊髄分離症」とは、骨がまだ成長しきっていない状態で腰に少しずつ負担を積み重ねる事で発症するいわゆる疲労骨折の一種です。

後述しますが疲労骨折といっても骨が折れたりひびが入っているといったことではなく、背骨のブロック同士をつないでいる骨が離れてしまう状態のことです。

なぜ背骨がズレてしまうのか?

背骨の話が続きますが、先に出てきた背骨のブロックは部分によって呼び方が異なります。まずブロックそのものを椎骨(ついこつ)と呼び、お腹側にある部分の骨が推体(ついたい)、背中側にある部分の骨が椎弓(ついきゅう)です。

正常な状態でいえば、この椎弓は椎間関節という組織を間に挟んで上と下のブロックを繋げています。そしてこの椎間関節に隙間が出来てしまうのが脊髄分離症で、ブロックが前後にズレるのが脊髄分離すべり症です。

ですからスポーツのやりすぎ蓄積された疲労によって、まず最初に椎間関節が乖離(かいり)・骨折して、その状態を放置したままスポーツを続けることで脊椎分離すべり症になるわけです。

多くの場合、脊髄分離すべり症が発症してから自覚症状(痛み)が発生するので脊髄分離症の時点では気付くことができません。なぜなら痛みが発生する原因は椎骨がズレて(すべって)脊柱管と脊髄を圧迫して痛みが発生するからです。

脊髄分離すべり症は主に腰の部分で発症する場合が多く、ほとんどの方に腰痛が症状として現れます。この疾患は「怪我」のように比較的短期間治るものではなく、繰り返し腰に負担をかける事で発症したため、治りにくいのが特徴です。

脊髄分離すべり症に自覚症状はある?

もし、以下のような症状に覚えがある方は「脊髄分離すべり症」が発症している可能性が高いです。

  1. 長時間同じ姿勢でいると、腰に痛みを感じる
  2. 運動中、腰痛が生じる
  3. 腰を反らすと、痛みを感じる
  4. 腰をねじると、痛みを感じる
  5. 痛みである程度の距離を歩き続けることが困難

ほとんどの患者さんに腰を反らす動作ねじる動作をした時に腰に痛みを感じるという自覚症状があります。更に、分離部分を押すと痛みが増強したり、神経が圧迫されていると下肢痛、下肢の痺れといった症状が現れます。

ですが、いずれにしても一般的な激しい痛みではない為、見逃してしまいがちなのが「脊髄分離すべり症」の特徴です。

また、脊髄分離すべり症を予防するには、姿勢を良くすることを心掛け、腰回りや背骨を激しく動かす運動は避けましょう。さらにいえば肥満になると体重が増え、それを支える骨盤や腰回りの負担を増やすことにつながるのでこの辺りを注意しましょう。

本日のまとめ

今回は背骨と脊髄の構造や、脊髄分離すべり症の症状、原因について確認してきました。

脊髄分離すべり症のように大人になってから本格的に痛くなるような病は、中高生のうちにどれだけ注意を促しても、意見を聞いてくれないことがほとんどだと思います。

なぜなら痛くなった経験がないからです。痛みのつらさは経験によってしか図ることができません。その為、保護者や監督者の方々は普段からうるさく注意するのではなく、少しの違和感やちょっとした痛みが出た場合にコミュニケーションを取り、違和感を理解し、専門家への相談や診察を促してあげることが大切です。

 

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