目の前に顔立ち、髪型、体格、年齢、服装などほとんど同じ女性が2名立っているとします。とても良く似た一卵性の双子さんがいらっしゃると想定されると良いでしょう。
後ろ姿しか見えませんが、瓜二つのようです。しかし、一人の方は背中がピンと伸びたキレイな立ち姿をされていて、もう一人の方はいわゆる背中が丸まった猫背な状態でいらっしゃいます。
ここであなたに質問です。「もし、あなたがこの2人のどちらかだけ食事に誘うとするなら、どちらに声をかけますか?」
おそらく多くの人が背中がピンと伸びたキレイな立ち姿の方に声をかけるのではないでしょうか。
全く同じように見えても猫背というだけで老けて見えたり、自信がなさそうに見えたり、疲れているように見えたりします。このように知らず知らずのうちに見た目に影響を与えてしまっているのです。
猫背により影響が出るのは見た目だけなのでしょうか?実は、それだけではないんです。今回は猫背と背骨と姿勢に注目してご紹介してまいります。
人間の背骨の構造とは
そもそも人間の背骨の構造はどうなっているのか、先に知っておきましょう。
背骨は、背中の中央を真っ直ぐ走っている骨のことをいいます。背骨は1つの大きい骨ではなく、椎骨という小さな骨がつなぎ合わさって成り立っています。この椎骨は首からお尻にかけてあるのですが、何個くらいあると思いますか?
なんと、全部で26個もあるんです。すごく多いですよね。(※椎骨の数には個人差があります。)
背筋がピンと伸びて背中が真っすぐに見えるとき、背骨も真っすぐだと思われがちですが、実際はそうではありません。横から見るとゆるやかなS字カーブを描いた状態になっています。
では、見るからに背中が丸まっている猫背のとき、背骨はどういう状態になっているでしょうか?
このときは背骨は自然なS字カーブの状態からさらに曲がってしまうことになります。すると、首や腰など色々なところに負担をかけることとなり、様々な悪影響が出てしまうのです。
猫背による身体の悪影響とは
背中が丸まった猫背による身体の悪影響は具体的に何か、以下に7つ挙げてご紹介します。
- 腰痛
- 肩こり
- 首こり
- 背中の張り
- 頭痛
- 自律神経の乱れ
- 内臓の不調
このように猫背の状態が続くと、首・肩・腰・背中といった背骨に近い部分の不調から便秘や下痢といった内臓の不調、そしてメンタルの不調まで引き起こされてしまいます。
特にデスクワークをされている方は要注意ですね。ただでさえ長時間椅子に座って同じ姿勢でとり続けることは身体に負担をかけています。それにもかかわらず猫背となると、さらに身体に無理をさせてしまっているのではないでしょうか。
よい姿勢はなぜ大切なのか
姿勢を正すことがなぜ大切なのか、疑問に思われる方はこちらも読んでみてください。
姿勢がよいと日常の動作が無理なくできるので、周りの筋肉や関節への負担が減るというメリットがあります。そして何より、見逃せないのが内臓やメンタル(心)との関係。背骨を中心に”外側の体”である筋肉や骨格が丈夫な方は見た目も若々しく、”内側の体”である内臓のはたらきも活発なことが多いです。内臓が元気な方は食欲があり、お通じもよく、風邪などのちょっとした不調にも負けづらい体をもっています。
心の状態は、外側(見た目)、内側(内臓)の両方に現れます。気持ちが沈んでいると、どうしても姿勢も前かがみになりがちです。そうすると内臓は潰され、本来のはたらきができませんし、無理な体勢を続けることで背骨や筋肉にも負担がかかります。
引用:本「痛みと不調を根本から改善する 背骨の実学」1章より
こちらに書かれているとおり、姿勢がよいとメリットがたくさんあるようですね。どんなメリットがあるのか、次にまとめてみました。
姿勢を正すことのメリット
姿勢を正すことのメリットとして考えられるものを以下に挙げてみました。
- 身体の不調が起きづらくなる
- 血流が良くなる
- 痩せやすくなる
- 見た目がキレイになる
- 自信が持てるようになる
先ほど猫背による身体の悪影響についてご紹介しましたよね。これは猫背の状態が続いたからこそ引き起こされていた身体の問題でしたので、それが解決されると今まで起こっていた問題は起こりにくくなるでしょう。
また、姿勢を正すことで今まで阻害されていた血流が良くなりますので、基礎代謝が上がりやすくなり、今までよりも痩せやすい身体に近づきます。
さらに、見た目がキレイになると、周りの人が受ける印象も変わってきます。自然と心が前向きになって自分に自信が持てるようになるのではないでしょうか。
猫背の方が楽に感じるワケ
「姿勢を正すことの大切さは分かった。でも、いつの間にか猫背に戻ってしまうんだけど・・・」
このような方がいらっしゃるかもしれませんね。
これは猫背になりやすい作業をされていることが原因のひとつにあるかもしれません。
デスクワークもそうですし、料理をしたり、掃除をしたり、パソコンやスマホを見たりする作業もそうなんですが、これらは手元で作業することが多いですよね。そうすると、自然と目線は下がりますし、肩は内側に入りやすくなって、背中が丸くなりやすくなるのです。
また、自分の中では正しい姿勢だと思っていても、実はその姿勢が間違っていることがあるかもしれません。よくない姿勢だと余計に身体に負担をかけてしまい、結局いつもの猫背に戻ってしまうのではないでしょうか。正しい姿勢というのはどういうものなのか、きちんと知る必要がありますね。
正しい姿勢とは・・・
では、これから正しい姿勢とはどういった姿勢なのか、お伝えしたいと思います。
- 正しい立ち姿勢
- まず、正しい立ち姿勢についてです。以下に正しい立ち姿勢をするための7つのポイントをまとめました。
- 耳、肩、骨盤、くるぶしの4箇所が直線上にある
- あごを引く
- 背筋を伸ばす
- 肩甲骨を外に開く
- お腹に力を入れて骨盤を立てる
- お尻を締める
- 重心をかかとと母指球に置く
自分が正しい立ち姿勢ができているか確認したい時は後頭部、肩甲骨、お尻、かかとを壁につけて立ってみてください。このとき、違和感なくできていれば問題ないでしょう。ちなみに、首と壁の距離、ウエストと壁の距離は手の平1枚分のスペースがあるといいです。
- 正しい座り姿勢
- 次に、正しい座り姿勢についてです。以下に正しい座り姿勢をするための7つのポイントをまとめました。
- 耳、肩の中央にある肩峰、ももの付け根の3箇所が直線上にある
- あごを引く
- 背筋を伸ばす
- お腹に力を入れて骨盤を立てる
- お尻を椅子の背もたれに付ける
- 膝と股関節を平行か、少し高くなるようにする
- 足裏を床に付ける
気になる方はクッションや折り畳んだバスタオルなどを背中やお尻に敷いて調整してみてください。このとき、足を組まないようにしてくださいね。
本日のまとめ
今回は猫背と背骨と姿勢について確認してまいりました。
習慣化した猫背はすぐになおしづらいものです。ですが、正しい姿勢を続けていくと、今度はその正しい姿勢が習慣化して、意識しなくても正しい姿勢ができるようになるかもしれません。普段から正しい姿勢を心がけてくださいね。
ただし、姿勢にいくら気を付けていても不調や痛みが続いているなら、一度専門家にみてもらうことをおすすめします。不調や痛みの原因が姿勢以外の他にあるのかもしれません。我慢しないで、すぐにお近くの病院や治療院へ行ってみましょう。