会社勤めになると革靴、ハイヒールは必須という企業も多いと思います。確かに革靴は働く男性の象徴ともいえますし、ハイヒールは女性の美脚を見せるために欠かせない履物かもしれません。
おしゃれは我慢とはいいますが、それが原因で体を壊してしまっては元も子もありません。今回は特に女性に多いお悩みの一つ、外反母趾について記事を書いてまいります。
特にすでに足の親指が人差し指側に向いてしまっている方にはぜひとも読んでいただきたいです。それでは始めてまいります。
外反母趾とは
外反母趾が人体に及ぼす影響を説明する前に、まずはこの単語について確認しましょう。「外反」とは医学医学用語で、本来はその方向には曲がらないものに無理な力がかかって曲がってしまっていることを言い「母趾」とは親指の事を指しています。
冒頭でも示したように革靴・ハイヒールといった足を締め付けてピシっとした印象を与える履物は足全体ではなくて特にでっぱっている足指の付け根の両端に強い負荷をかけます。その結果、特に親指が靴に押されて人差し指の方向へ伸びてしまいます。こうなると親指全体、関節、付け根の両端に圧力がかかり、その影響で炎症が起こり、痛みを引き起こします。
また外反母趾のやっかいな所は進行しきってから痛みが出る点と、外反母趾という言葉に知名度があり、「みんなもなっているから平気」と認識してしまっている方が多いという点です。
外反母趾が及ぼす悪影響
では外反母趾は体にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。結論から言えば、痛みで足が踏ん張れない、あるいは痛みをかばう様に歩いてしまい、その結果、体のバランスが崩れてほかの個所に疾患をもたらします。
人間の体というのはとてもよくできていて、足の指やかかとなど普段、気にも留めないような箇所も大切な役割を持っているのです。例えば足の親指が曲がる(正しい位置にない)と足を踏ん張るチカラが40%も落ちるといわれています。
しかし体の体重が変化するわけではありませんからその支えられない40%は他の個所への負担となるわけです。その負荷が足のほかの指にかかっていたら他の指まで変形してしまいますし、足指の付け根、かかとにその力が掛かっている場合はタコ・魚の目ができる原因にもなります。
もちろん体重がかかる足のバランスが崩れると、体全体にも影響を及ぼします。わかりやすく言えば、足首などをねんざした経験はどなたにもあると思いますが、右足首をねんざした時は左足に体重をかけてひょこひょうこ歩きをすると思います。
これと同様に右足の親指が痛ければ自然と左足に体重をかけて歩くようになり、その結果、不自然な立ち姿勢・歩き方が原因で腰痛・頭痛・肩こり・気持ちの落ち込みやほかの疾患を併発してしまいます。
男女による外反母趾の比率
外反母趾は男女比が1:10と、圧倒的に女性に多く、軽い症状を含めて中高年の約半数の女性が悩んでいます。女性がなりやすい理由は、男性に比べて骨格構造の強度が弱く筋肉も少ないために足が変形しやすいからです。
また革靴よりもかかとが高くなるハイヒールやパンプスといった装いは足(特に足指の付け根)に負担がかかりやすいです。なぜなら、かかとが上がるということは本来かかとが支えていた負荷がすべて足指の付け根にかかってくるからです。
もちろん女性のほうが多いというだけで外反母趾に悩む男性もいらっしゃいます。昨今、若い方が履くようなつま先がスリムなデザインの靴を履いていたり、安全靴などの職域シューズを頻繁に履いている方は注意が必要です。
窮屈な靴だけが外反母趾の原因とは限らない
前述の通り、ハイヒールなどかかとの高い靴は負荷が足指の付け根にかかり、靴幅が狭く足指の動きが制限されるため、体重の負荷を足全体に分散することが出来ません。
しかし、外反母趾が進行し痛みが出てきたから自分のサイズより一回り大きな靴を履こう。という選択も実は足にはよくありません。外反母趾になっている方にとって一番いい靴は自分のサイズに合っていて、靴の先が広く、五指を広げたり、曲げられたりできる柔らかい靴です。
なぜなら自分のサイズより大きめの靴を履くと、足の動きに靴がついてこないので不自然に足指を上げるような歩き方になってしまったり、重心がかかとにズレてしまうことで、足の指が動かなくなります。
足の指が動かなければ問題はないのでは?と思われるかもしれませんが、前述した通り、人間の体に使わなくてもよい箇所は一つもありません。足の指を動かさなければそのチカラは徐々に低下していきますので踏ん張るチカラがなくなり、軟弱になってしまった指は押し付けられる力に対抗できず曲がりやすくなります。
まとめ
今回は外反母趾が体におよぼす影響、外反母趾になりやすい性別、靴の選び方などについて確認してきました。外反母趾は足指の痛みによって歩行を不自然にさせることで、体の不調を招きます。
仕事柄、ハイヒールや革靴などの靴幅の狭い履物をどうしても履かなくてはならない方もいらっしゃるでしょうが、通勤中はスニーカーに変える、職場についたら靴を室内履きに履き替えるなど、足のケアをしてあげることをおすすめします。
外反母趾によって親指が曲がり始めると自然に改善することはありません。ですから足に異常を感じたら重症化するまで放っておかず、専門家に一度相談することをおすすめします。