昨今、健康番組などでも取りざたされていますが、内臓にある「腸」という臓器は食べ物の消化・吸収を行う機能だけでなく、第二の脳とも呼ばれ、全身の健康や、やる気、抗うつ作用を持つセロトニンなどの物質を生み出すとても大切な機関であるという事がわかってきました。
今回、ご紹介するのはそれだけ重要な組織である腸に、ごく微細な穴が空いてしまうことで倦怠感、スキントラブル、集中力の低下や、がん、糖尿病、肝臓病、生活習慣病を引き起こす要因にもなってしまうリーキーガット症候群について記事をまとめてまいります。
リーキーガット症候群とは?
冒頭でも触れた通り、リーキーガット症候群は腸に微細な穴が空くことによって、細菌や毒素、有害物質など本来は体外に排出されなければならない物質が体内に漏れ出して様々な不調を生み出す病です。
では、どのような状態が正しい腸内環境であるのかを確認してまいりましょう。腸の仕事はまず食べ物の消化・吸収が挙げられます。口で咀嚼(そしゃく)された食事は唾液に含まれる消化酵素、アミラーゼの働きによってまず、でんぷん質が分解されます。
次に咽頭から食道を通過して、胃に達します。ここで更に消化酵素、ペプシンが含まれている胃液の影響でタンパク質を分解します。そこから小腸でさらに細かく分解・吸収され、最後に大腸で水分を吸収し、他の不要物や残りかすを大便として排出されます。
ここまでは大多数の方もご存知と思います。そして次に最近注目されている働きが腸内にて幸せホルモンと呼ばれるドーパミンやセロトニンという物質を作り上げることです。
幸せホルモンはその名の通り、たくさん分泌されると多幸感や達成感を感じる物質で、決められた目標が達成できたり、仕事が上手くいったり、あるいはジョギングなどの運動をした時にも分泌されます。
医学が発達し、脳の解明が進むことで、人間の感情や行動はすべて脳が司っているという考えが常識的になってしまいましたが、冒頭の通り、第二の脳と言われる腸にもこういった働きがあるのです。しかもそれらの幸せホルモンの実に95%以上が腸内に存在するというから驚きです。
さて、次に今回のリーキーガット症候群にも関係する腸の機能が「バリア」機能をご紹介します。
身体に入る物質は常に、良いものだけとは限りません。細菌や病原菌、あるいはキノコ類などに付着している有害な微生物や毒素、プラスチックや洗剤といった環境ホルモンなどが入ってくる可能性もあります。
そしてこういった身体にとって良くないものと必要な栄養素を取捨選択し、身体にいいものだけを吸収し、ほかの有害物質を体外に排出する機能も備えているのです。
リーキーガット症候群とは?その2
さて、ではそういったバリア機能は腸内のなにが作用して発揮されているのかという事ですが、一つは腸内全体に存在する、腸内フローラと呼ばれる腸内細菌群が作用しています。ここには善玉菌と悪玉菌、それから日和見菌(ひよりみきん)という三種類の菌がバランスよく存在することで食べ物を消化し、腸内環境を正常に整えています。
次に腸粘膜層と呼ばれる、腸を形成する細胞同士がしっかりと結びつくことで有害物質が体内に入る事を防いでくれています。
最後は免疫細胞の力です。免疫細胞とは体外から侵入してきたウィルスや細菌、あるいは身体で形成されてしまうがん細胞を攻撃する細胞ですが、体内に存在する70%の免疫細胞は腸に存在していると言われており、これら3つの働きがかみ合う事で腸内のバリア機能は正常に働いている、というわけです。
そして不規則な生活、偏食・過食、カフェインの過剰摂取、合成保存料、防腐剤、合成化学添加物をよく食す、度重なる飲酒によって消化器系が疲弊する、など日頃の生活や食生活に乱れが生じると、腸内のバランスが崩れ、このバリア機能が上手く働かなくなり、リーキーガット症候群が発病してしまう。というわけです。
リーキーガット症候群を改善するには?
すでに前述の通り、リーキーガット症候群が発症・悪化する一番の原因は腸内環境のバランスが崩れてしまう事にあります。家庭内だけで食事を賄っていたひと昔前と比較して、コンビニ、レストラン、カップラーメンなどたくさんの食品がある昨今では添加物、合成保存料、農薬といった化学物質を摂取しないことは不可能と言えます。
しかし出来ればそれらの食品を意識して食さないように努めて、腸内環境を整える、イモ、ニンジン、ゴボウ、大豆といった食物繊維の多い野菜をしっかりと摂り、ヨーグルト、納豆、味噌といった発酵食品を積極的に摂取するようにしましょう。
まとめ
今回は腸内バランスが崩れることで体内に有害物質が侵入し、スキントラブルや倦怠感、がん、生活習慣病、糖尿病などを引き起こすリーキーガット症候群について記事を書いてまいりました。
生活習慣や食生活の乱れはリーキーガット症以外にも様々な病気の原因となります。レトルト食品や保存食品などは手軽に食べれてお腹を満たすことは出来ますが、長い目で見ると健康にはよくありません。
腸内環境を整えて、いつまでも健やかに人生を謳歌しましょう。