痛みは人間の発する危険信号です。例えば切り傷や骨折などで出る痛みは痛みによって患部に注意を払ったり、なるべく患部を触らない為に出ているといえます。
あるいは目に見えない内臓の痛みはその危険信号によって、身体の不調を脳に伝えることができるわけですが、ある日突然、身体の不調ではなくて脳の異常からめちゃくちゃな電気信号が発せられて特にケガも病気もしていないのに激痛が走る病があります。
今回ご紹介する線維筋痛症もその一つです、後述しますが、この病は激しい痛みが特徴的で、厄介なことに身体に不調がないのに激痛が走り、その原因もほとんどわかっていません。
それでは線維筋痛症について確認してまいりましょう。
線維筋痛症とはどんな病気?
では、線維筋痛症を詳しくご紹介する前に人の痛みについて確認していきたいと思います。
痛みには色々な種類があります、例えば骨折や切り傷など皮膚にある痛点が感じ取り脊髄を通して脳へ電気信号が伝わり、脳が痛いと認識する侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)、リウマチや坐骨神経痛などを始めとする痛みを伝える神経に異常がみられる神経障害性疼痛、昨今増えているのが今回ご紹介する線維筋痛症を始めとする非器質的(心因性)疼痛、いってみれば原因が不明であり心の病やストレスなどが原因とみられる痛みに分けられます。
痛みというのは脳が認知しなければ感じることができません。例えば「無痛症(むつうしょう)」という言葉を聞いた事がある方もいらっしゃると思いますが、この疾患は生まれついての遺伝子変異によって痛覚が上手く機能しない病です。
そういった例外を除けば脳は痛みを認識すると痛みの原因から遠ざかる指令を出し、次に下行性疼痛抑制系神経(かこうせいとうつうよくせいけいしんけい)が痛みを抑えようとします。
冒頭でも触れましたが、人間にとっての痛みというのは危険を伝える信号で、とても大切なものですが、反対に脳にとっては耐え難い苦痛であり、出来れば味わいたくないものです。
ですから脳には痛みを感じる機能とそれを抑制する機能があるのです。この機能がめちゃくちゃに作用することで原因はないのに激しい痛みを感じるようになるのが今回ご紹介する線維筋痛症です。
線維筋痛症の症状と発症しやすい方の傾向
線維筋痛症の症状は人によって様々です。「やけどのようにヒリヒリする」「切り傷のようにズキズキ痛む」「焼けるように痛い」「刺すように痛い」などなど、症状は千差万別ですが共通しているのは「激しく痛む」ということだけです。
あるいは重症化すると髪が皮膚に触れたり、ドライヤーを使ったり、物をつかむ、服がこすれるといったことだけでも痛みを感じるようになり、痛みの他にも疲労感や倦怠感をいつも感じたり、睡眠障害やうつ病、身体のしびれやこわばりなどを併発してしまうといった症状も見られます。
次に発症しやすい方の特徴ですが、これは圧倒的に女性が多いです。男性に比べて5~7倍ほどの割合でさらにいえば几帳面で完璧主義、そして責任感の強い女性によく発症すると言われています。
特に真面目で責任感の強い女性は仕事やプライベートでも何かできなかったことがあると自分に問題があると感じる傾向にあり、心的外傷(ストレスやトラウマ)を抱え、それが引き金になり病を発症してしまいます。
線維筋痛症を回避するには?
先の章でも申し上げた通り、線維筋痛症は原因がよくわかっていません。さらにいえばストレスや心の病というものも、多くは原因がわかっておらず、その方の特徴によって原因や改善方法も様々です。
ただ一ついえることは日本人の特徴でもある生真面目さや責任感を感じ過ぎないようにしてあげることはとても大切だと思います。確かに仕事やプライベートで責任のある行動をとれる方は誰にでも頼りにされ、自分でもその立場を誇らしく感じるかもしれません。
しかし、その立場を守るために資本になる自身の身体を壊してしまっては元も子もありません。ですからそうならない為にはまず、自分の出来る範囲と出来ない範囲を明確に分けることをおすすめします。
適度にできない自分を許し、そして他人にも許してもらえる環境作りはストレスを和らげ、病に陥る、陥らないに関わらず居心地のよい環境を作れるように努力しましょう。
まとめ
今回は激しい痛みが特徴で、まじめで、責任感が強い女性によく発症する線維筋痛症について記事を書いてまいりました。
文中でも触れましたが日本はストレス社会であるといわれてから長い年月が経ち、それに関係して起こる病がとても多くなりました。
当然、社会をすべて変化させるには時間がかかりますが、自分の環境であれば自己努力によって変えることが出来ます。今現在、耐えがたいストレスに身を置いている方は生活を見直してみてはいかがでしょうか。
また耐え難い身体の不調やストレスに悩んでいる時は他人に相談したり、マッサージで心休まる時もありますのでお気軽にご相談ください。