普段パソコンでのデスクワークに勤しんでいる方や、スマートフォンを使っている方、学校の部活で楽器の演奏に精を出している学生、執筆活動をしている方など、手指を頻繁に動かす必要がある方に多い腱鞘炎について本日は記事を書いてまいります。
腱鞘炎になった経験がない方という方は少ないと思いますが、腱鞘炎には軽度のものから重度のものまで様々ありますので、その種類や予防方法などに触れていきたいと思います。
まずは手指の構造を確認します。
腱鞘炎の症状をイメージしてもらうためにまずは手の構造について確認しましょう。
手指は27個の小さな骨によって形成されており、その周りを筋肉が覆っています。そしてこのたくさんの骨を動かすことが出来るのは筋肉と骨を結ぶ腱のおかげです。
実は腕の腱は前腕(肘から先の部分)からつながって伸びており、その腱は掌・手の甲を通って指先まで届き、骨と筋肉を結んでいます。
この腱が骨から離れるのを防止するために腱鞘という組織が覆ってします。読んで字のごとく、腱にとっての鞘というわけです。この腱鞘の中には潤滑液が流れていて腱をスムーズに動かし、腱鞘との間に摩擦が起きないようサポートしています。
しかし手指や手首を酷使し、一部分に強い負荷が繰り返し掛かると潤滑液ではサポートしきれないほどの摩擦が起き、炎症を起こします、これが腱鞘炎の正体というわけです。
女性のほうがなりやすい腱鞘炎
女性のほうが男性よりも腱鞘炎になりやすい理由は、体の構造上、筋肉量が少く、男性の筋肉量の7割程度しかないからです。そのため、同じような仕事をしたり、物を持つ時に体に感じる負担が違います。
また育児や家事も手を酷使する要因の一つです。幼い子供を世話したり、子供を抱えて洗濯や料理、買い出し、などを行うと知らず知らずのうちに手を酷使してしまうからです。
そのほかに、女性が発症する腱鞘炎には手の酷使とは別にホルモンが関係しています。女性にはプロゲステロンという妊娠や出産を助けるホルモンと、身体の柔軟性を保つエストロゲンと呼ばれるホルモンがあり、女性の身体はこの二つのホルモンのバランスによって変化します。
またプロゲステロンが分泌されると身体全体の腱鞘を狭めてしまい、腱との間に摩擦が起きやすく、この状態で赤ちゃんの抱っこや家事を行うと、必然的に手指にかかる負担が通常よりも大きく、腱鞘炎になる可能性がさらに高くなるというわけです。
反対に、更年期になると腱や腱鞘を柔軟に保つ働きがあるエストロゲンが減少します。すると体の腱や腱鞘が固くなり、やはり腱鞘炎を起こしやすくなります。
腱鞘炎の種類について
基本的に腱鞘炎というのは二つの種類に分類されていて「ばね指」と「ドケルバン病」があります。どちらも手指の酷使によって症状が現れますが、前述したとおり、男女で比較すると、どちらも女性に多く見られます。
ばね指というのは手指の付け根に痛みや腫れといった症状が現れ、肥厚(ひあつ:むくみによって厚みが増すこと)し、このでっぱりが腱鞘に引っかかってしまう状態のことです。
この状態でさらに手指を動かすと、そのでっぱりに筋がひっかかり、出さなくてもよい力が腱に加わってしまい、腱鞘炎をさらに悪化させます。
次にドケルバン病ですが、これは手首の親指側に起こる腱鞘炎です。親指を動かす腱は全部で3種類あり、そこの腱に炎症が起こっている状態です。腱にはそれぞれ名前がついていますが、重要ではないのでここでは割愛させていただきます。
つまり腱鞘炎には親指の付け根あたりに起こるものと、残りの4指に起こるものがあるということです。
どうやって予防したらいいの?
腱鞘炎を予防するには普段の生活でなるべく手指に負担をかけないように工夫することが大切です。長時間にわたって手指を酷使する仕事についている方は、仕事の合間に休憩を取り指を休ませてください。
ほかにもパソコンを使っていてキーボードを強く打つ方がいらっしゃいますが手指と手首に大きな負担となりますので控えましょう。
また腱鞘炎を予防するには手指のストレッチをすることが効果的といわれています。作業の間に時々休憩をはさみ、指を伸ばすストレッチを行ってみましょう。
あるいはテーピングやサポーターなどの使用もしっかりと手を固定してくれ、指への負荷が軽減されますのでおすすめです。
本日のまとめ
今回は、腱鞘炎の種類、原因、予防方法、女性のほうが腱鞘炎になりやすい理由などについて確認してきました。
腱鞘炎は昔から家事や仕事について回る厄介者でしたが、昨今ではパソコンやスマホの普及によって昔よりもさらに手指を使う機会が増えてきました。腱鞘炎が進行すると痛くて指が動かせない状態にまでなり、日常生活に支障をきたしてしまいます。
この腱鞘炎を少しでも回避するために、先に紹介した工夫を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。またもしも、腱鞘炎の痛みが慢性的になり、耐えられない状態になった場合は専門家に相談してみましょう。