今回はスポーツ障がいについての記事をまとめてまいりたいと思います。
読んで字のごとく、スポーツをすることによって起こるあらゆる障がいを指します。
この障がいが一番発症しやすいのは体が成長段階にある中高生の方々です。動きたい盛りに加えて、この時期は教えられたことをどんどんと吸収できるので、選手は自信をつけ、もっともっと練習したい!監督者は覚えてくれるのがうれしくて、上手くなる生徒の指導が楽しくて!という時期だと思いますが、、、
過度の練習はやっぱりよくありません。のち程、詳しくご紹介しますが中高生の体は一見すると小さな大人のようですが、その筋肉は弱く、骨も発達段階にあるものです。特に男子は女子に比べて体の出来上がりが遅いので、ちょうど「試合に勝ちたい!」と強く思う高校生の時期にスポーツ障害に陥り、そのまま部活からフェードアウトしてしまう、といった事例もあります。
一生懸命頑張った結果、ケガをしてしまう。これは部活をしていれば誰にでも起こり得ます。しかし防げるケガを防げないのは監督者の責任といわざるを得ません。すべての一生懸命が報われるように見守る大人も青年たちも、この障がいを知っていただければと思います。
では記事を始めてまいります。
スポーツ障害の種類と症状
スポーツ障がいは大きく分けて2種類あります。呼び方は各専門家によって様々ですが、急性と慢性、あるいはスポーツ外傷とスポーツ障害と呼ばれたりします。
※今回の記事では急性のモノをスポーツ外傷、慢性のモノをスポーツ障がいと呼んでまいります。
ざっくりと説明すれば、体が接触する、ボールが当たる、着地を誤る、プレー中に肘が当たる、というようないわゆる一時的な骨折、捻挫、打撲、脱臼などはスポーツ外傷と呼ばれています。
一方で、スポーツ障がいと呼ばれるものは、十分に休息が取れない状態で体を酷使したことによって起こる、関節の変形や肩、肘、膝、腰の慢性的な痛みを指します。
具体的には野球肘、テニス肘、オスグット、ランナー膝などの名称で呼ばれていますので、どこかの部位に慢性的な痛みがある場合は、これらの名称で検索してみましょう。
スポーツ障がい・外傷の原因と症状
スポーツ外傷に関してはどんなに気をつけても事故は起こってしまいますので、まずは注意することです。スポーツ障がいに関しては一概にこれが原因です、とはいえません。競技や個人の癖によるものが多いですからね。
けれど選手・監督者にとっては釈迦に説法といわざるを得ませんが、練習開始前のウォーミングアップと練習後のクールダウン、限界以上のトレーニングを行う、などはスポーツ外傷・障がいどちらを予防する目的にしてもとても大切です。
スポーツ外傷に関していえば、休息が取れないと集中力が散漫になっていわゆる「気のゆるみ」による事故が起きますし、体が硬い状態でプレーすればケガも多くなります。また体を酷使し続ければ筋肉や関節、骨などに疲労が蓄積されていき慢性の痛みを引き起こす結果になります。
スポーツ障がいはどうやって進行していくのか?
スポーツ障がいというのは、簡単にいうと肉体の修復速度よりも早く筋肉や関節、骨といった部位に負担をかけてしまい、それでも無理してトレーニングすることによって関節の自由が奪われたり、耐えきれないほどの激痛に見舞われる状態の事です。
人によって症状の出方は様々ですが、大抵の場合は違和感を覚えることから始まります。そんなに痛くはないけど、、なんだか?とでも表現しましょうか。
次に「あっ、やっぱり痛いな」という状態へ進行します。しかしこの段階では部位によって、練習を始めた直後は多少痛いけれど、体が温まれば痛くない、テーピングをすれば痛くない、などで練習を続けてしまいます。
そして最後に強い痛みや鈍痛が襲う状態になります。例えばそれは練習している最中にいきなり痛みを感じたり、朝起きたら痛くて立ち上がれなかった、練習後に帰宅している最中に痛くなってきて、家に帰る頃には耐えられないものになっていた、などの事例があります。
この状態までいくと、しっかりと対策を取らなけれ大人になっても痛みが残ったり、冬になるとシクシク痛くなるなど、一生付き合っていかなければいけないケガに発展するかもしれません。
中高生にスポーツ障害が起こる理由
次に冒頭でも触れましたが中高生にスポーツ障がいが起こりやすい理由をみてまいりましょう。これは単純に体が成長段階にあるからです。
人間の体はまず骨が先に成長します、そしてそれに追いつくように筋肉が発達していきます。では骨が先に伸びて筋肉が追い付いていない状態の時はどうなっているでしょうか?
大人の骨格は骨と骨の間に関節があり、それを覆うように筋肉がついていますが、成長段階の時は骨と関節の間に骨単線と呼ばれる新しい骨(伸びてく骨)を作っていく部位が形成されます。
もちろん、骨単線で作られる骨は初めから強度があるわけではないので、ここに強い衝撃や、圧力、牽引力(引く力)が繰り返し働くと、傷つき、変形してしまう。というわけです。
スポーツ障がいを防ぐには
スポーツ障がいを防ぐ大前提は先ほども述べた通り、ウォーミングアップとクールダウンをしっかりとすること、そして練習後の睡眠、栄養のある食事は欠かせません。
そこからさらに気を付けていただきたい事として、選手は自身の体力や運動能力を知り、無理のない範囲で練習をすることです。しかしそうはいっても、みんなに遅れを取るのは耐えられない!という場合は部位に違和感を感じた段階でそこに負担をかけない、あるいはもっと効率のいい練習方法を模索しましょう。
そして監督者は選手一人一人の状態に配慮し、なにかしらの変化が見えた時はコミュニケーションを取ったり、休息を促してあげる、または既存の練習にこだわらず、出来るだけその子にあった練習メニューを作ってあげることが最良の予防といえます。
本日のまとめ
中高生に多い、スポーツ障がいについて確認してまいりました。文中でも注意点はあげましたが、特に!!気をつけていただきたいのは、中高生において監督者というのは絶対的な存在だという事です。ですから、なかなか痛みや違和感を口にできずに取り返しのつかない事態を招いてしまう事だってあります。
監督者のスタイルは千差万別ですが、昔ながらの鬼コーチでも、和気あいあいな雰囲気作りをして選手にやる気を出させるスタイルでも、思いは同じ「選手にうまくなってほしい」「試合に勝たせてあげたい」という方向を向いているはずです。
若い選手の中には将来、足が不自由になってもいいから今は練習したい!という子もたくさんいると思いますが、やはりそれを諫めたり、同じ効果でもよりよい練習方法を模索するのも監督者の大切な役目だと思います。
もしも、無理をしてしまう部員や痛みの症状を訴える選手に悩んでいれば当院にお気軽にご相談ください。